第1回「サニテーションからみるアフリカ狩猟採集民の未来」
【日程】 2023年1月25日(水)
【時間】10:00 – 12:30
【会場】京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 共同棟5F 504号室
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/access/
【形式】対面とZoomによる対面形式
興味のある方はどうぞお越しください
【言語】日本語
【スケジュール】
10:00-10:10 趣旨説明
高田明 ( 京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科 教授)
10:10-11:00 話題1
<講演者>山内太郎
北海道大学保健科学研究院 教授
「狩猟採集社会の子どものライフスタイルと健康-食と身体とWASH-」
(要旨)
人間のし尿を無害なものにするサニテーションの仕組みの構築と持続可能性の確立は世界の課題である。地球研サニテーションプロジェクトでは、サニテーションの仕組みが脆弱な低-中所得国さらに人口減少・高齢化でインフラ維持管理に課題を抱える日本を含めた世界の5つの地域社会において多彩なステークホルダーとサニテーションの共創を試みた。各フィールドで目指した共創は、1)トイレの意義、普及(カメルーン)、2)NGOとの協働によるし尿の農業利用(ブルキナファソ)、3)意識・行動変容を促す子どもクラブの参加型アクション・リサーチ(ザンビア)、4)既存の仕組みを利用した価値連鎖モデル(インドネシア)、5)自律分散型の仕組みの構築(日本)にまとめられる。
さらに、サニテーションの価値や意味をゼロから問い直し、3つの要素「健康・幸福」「物質・経済」「社会・文化」に整理した。そして、要素間の連関が重要であるという考えに基づく、サニテーションを包括的に捉える新しい理論「サニテーション・トライアングル・モデル」を提唱した。
S科研においては、サニテーションをWASH(Water, Sanitation and Hygiene:水、トイレ、衛生)に拡張し、狩猟採集社会の育児協働、成長にともなう子どもの行動の変化、子どもの森での活動(食物獲得活動)などのテーマと合わせて、食と身体そしてWASHの連関のフレームワーク(図)から狩猟採集社会の子どものライフスタイルと健康について考えてみたい。
11:00-11:40 話題2
<講演者>林耕次
京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科・研究員
「狩猟採集民のサニテーション-定住したバカ・ピグミーの現状と課題-」
(要旨)
1950年代に定住化と農耕化が進んだピグミー系狩猟採集民のバカは、熱帯の地域社会において農耕民との共存生活を行ってきた。しかし、サニテーションに関しては、遊動生活の慣習が根強く、近隣の農耕民とは異なるスタイルで継続されてきた。他方で、カメルーンにおける一部の農村地域では、2010年前後から政府機関やNGOなどによる施策により水場の整備やトイレの普及が進められてきた。本発表では、2016年以降の現地調査によるバカ・ピグミーの生活環境にみられるサニテーションの現状を報告しつつ、トイレ造りを通じた共創実践とその課題について概説する。また、(S)科研のテーマに向けた乳幼児を対象とする研究の可能性について論じつつ、ボツワナとナミビアでの状況を見据えた共同研究の展開についても言及する。
11:40-12:30 ディスカッション
【Notes】
- 講演は日本語で行われます.
*参加費は不要です. - 問い合わせ
「アフリカ狩猟採集民・農牧民のコンタクトゾーンにおける子育ての生態学的未来構築」プログラム事務局:中山恵美
E-mail: mn.green.tree※gmail.com ※を@マークに変換してください